【ここから本文】
![神戸新聞[外部サイト]](http://www.jwn.ne.jp/images/img_press_kobe-np.gif)
2010年02月10日
兵庫県西、北部豪雨で、河川氾濫に伴う浸水被害を受けた佐用町久崎地区で、あふれた水の流れが人や物体に及ぼす力「流体力」が、場所によっては100キロ以上に達していたとみられることが、土木学会関西支部のシミュレーション調査で分かった。人が耐えうる流体力は一般に20~30キロとされ、あふれた流水の脅威があらためて浮き彫りになった。
県西、北部豪雨は9日、発生から丸半年となった。
久崎地区は佐用川と千種川の合流地点にあり、堤防の破損などで川に挟まれた地域が広範囲にわたって浸水した。
シミュレーションは、調査団長の藤田一郎・神戸大大学院工学研究科教授(55)が実施。県の推計によると、佐用、千種両川ではピーク時に毎秒1400立法メートルの水が流れたとされ、このデータをもとにパソコンで浸水の様子を再現した。2メートル四方ごとに水深や流速を計算し、さらに「体の幅が30センチ」という条件で人にかかる流体力も調べた。
それによると、水が堤防を越え始めてから10分程度でほぼ全域に浸水が広がり、堤防付近の流体力は50キロ前後に。あふれた水は道路などの広い空間に集まって流れ、越水の9分後には水深1~2メートル、流速1~2メートル地点の一部で流体力が100キロ以上に達した。こうした結果から、当時はとても避難できる状態ではなかったことがうかがえる。
久崎地区では犠牲者は出なかったが、同豪雨では避難中に流されて亡くなった人が多かった。藤田教授は水害時のハザードマップについて「浸水範囲や水深に加え、今後は流体力によって避難できなくなるような場所をシミュレーションで明らかにし、反映させることも重要」としている。(田中陽一)